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東京地方裁判所 昭和45年(借チ)1084号 決定

〔主文〕1 申立人両名が、本裁判確定の日から三か月以内に相手方に対し金五、八五〇、〇〇〇円を支払うことを条件に、別紙目録(三)の2記載の改築を許可する。

2 前項の金員が支払われた場合、別紙目録(二)の1・2の各借地契約の各期間を、右金員支払の日の属する月の翌月から二〇か年に、賃料を同月分から3.3平方米当り月額金八〇円に変更する。

〔理由〕一 本件申立の要旨

(一) 相手方は、昭和一四年三月一一日谷津清に対し別紙目録(一)記載の土地を非堅固建物所有の目的、期間昭和三四年三月一一日までの約で賃貸し、その後申立人両名が右賃借人たる地位を承継した。

(二) 申立人ら相手方間の本件賃貸借の借地期間は昭和五四年三月一〇日まで、賃料は月額3.3平方米当り金七〇円である。

(三) 申立人両名は、右土地のうえに別紙目録(三)の1記載の各建物を所有しているが、これを同目録2記載のとおり改築すべく計画中のところ、本件賃貸借には増改築制限の特約が存するが、右改築につき相手方の承諾が得られないので、右承諾に代わる許可の裁判を求める。

二 当裁判所の判断

(一) 本件で取調べた資料によれば、相手方は、昭和一四年三月一一日谷津清に対し、別紙目録(一)の2記載の土地を非堅固建物所有の目的、期間昭和三四年三月一一日までの約で賃貸し、ついで、昭和二五年一〇月一日同目録3記載の土地を、非堅固建物所有の目的、期間昭和四五年九月三〇日までの約で賃貸し、その後申立人両名が右各賃借人たる地位を承継し、右賃借権は各期間満了日に法定更新されたこと、現在の右賃貸借の賃料は、いずれも月額3.3平方米当り金七〇万円であること、本件借地契約には増改築制限の特約が存する各事実を認めることができる。相手方は、同目録3記載の土地は、石炭搬込用の通路として賃貸したものであると主張し、相手方に差入れられた契約証書にその旨の記載があるが、右土地も同目録2の土地と一体となって現存建物の敷地として使用されていることおよび同契約書の他の契約条項は建物所有目的を前提とするものであることを考えると、同契約は、建物所有の目的として使用することを禁ずるものでないことが認められる。

しかして、申立人のなす改築計画は、土地の利用上、法令の制限上相当であり、他にこれを不当とする事由はない。相手方は、本件申立は権利の濫用であると主張するが、申立人が自己所有地を売却し、本件申立をすることをもつて権利の濫用であるとはいえない。そこで本件申立は後記の条件の下に許可するのが相当である。

(二) 附随の処分について判断する。

鑑定委員会は、本件土地の更地価格を3.3平方米当り金二〇万円、総額金五八、五〇八、〇〇〇円とし、期間に関係なく増改築を認める場合の承諾料を更地価格の一〇%である金五、八五〇、八〇〇円、期間を建替時より二〇年にした場合は更地価格の六%にあたる金三、五一〇、四八〇円とし、地代を、3.3平方米当り月額金八〇円にするのが相当である、としている。

当裁判所は、本裁判に伴い、借地法七条の趣旨により、本件各借地の契約期間を、本裁判確定の日の属する月の翌月から二〇か年に延長する。そして、右のごとき借地期間の延長および建物改築により建物朽廃時期の延長ならびに買取価格の増大により、相手方に対し、土地返還によせる期待的利益を減少させる不利益を与え、申立人にこれに応じた利益を与えるのであるから、右利害を調整するため申立人に財産上の給付を命ずべく、右給付金について、近隣の慣行的割合が存する地域にあつては、これを参酌して決すべきこと鑑定委員会の意見のとおりであり、本件資料によれば、本件借地各契約は、いずれも法定更新後のもので、建物朽廃によって消滅するが、現存建物はかなり老朽化しており、そのまま放置されれば、相手方において借地の全部または一部につき借地権消滅の期待もみ込みうるが、他方本件改築予定建物は、軽量鉄骨造りであり、木造建物よりその材質が堅牢で、耐用年数が長いと認められるので、申立人の支払うべき給付金は一般の場合より高額になるのはやむをえないところであり、以上の事情を考慮すると、申立人に支払を命ずべき給付金を鑑定委員会の定める更地価格の一〇%にあたる金五、八五〇、〇〇〇円(千未満切捨て)と定めるのが相当である。

賃料については、鑑定委員会の意見に従う。 (筧康生)

目録 (一)

1 東京都葛飾区東立石一丁目五五一番の一

宅地 482.64平方米(一四六坪)

同所 一丁目五五一番の二

宅地 214.87平方米(六五坪)

のうち、645.98平方米(195.41坪)

同所 一丁目五五三番の一

宅地 321.09平方米(97.13坪)

合計 967.07平方米(292.54坪)

2 1の土地のうち、3の土地を除く

宅地 884.42平方米(267.54坪)

3 1の土地のうち、西南部分の

宅地 82.64平方米(二五坪)

目録 (二)

(借地契約)

1 目的土地 目録(一)2の土地

目的 非堅固建物所有

成立 昭和一四年三月一一日

賃料 3.3平方米当り月額金七〇円

2 目的土地 目録(一)の3の土地

目的 非堅固建物所有

成立 昭和二五年一〇月一日

賃料 3.3平方米当り月額金七〇円

目録 (三)

1 現存建物

(一) 家屋番号五五一番一の一

木造瓦亜鉛メッキ鋼板交葺二階建倉庫・居宅

一階 78.04平方米

二階 39.74平方米

(二) 家屋番号五五一番二の一

木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建倉庫

74.62平方米

(三) 家屋番号五五三番一

木造スレート瓦葺二階建居宅

一階 75.27平方米

二階 19.00平方米

付属建物

木造瓦葺平家建倉庫

49.58平方米

2 改築計画

現存建物をとりこわし、軽量鉄骨造り

(ただし主要鉄骨の材厚は3.2粍以内)

二階建工場四棟

床面積1.2階とも、

(1)  54.45平方米

(2) 101.52平方米

(3) 184.68平方米

(4) 174.96平方米

を建築する。

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